伝承文化情報

◆陸前高田市 伝統の「詰市」
陸前高田市高田町大町の高田市場では12月25日に、年末恒例の「詰市」(つめまぢ)が開かれる。高田市場は、藩政時代から約二百年続く気仙地方で最も古い市である。毎月五のつく日に開かれ、年の瀬に開かれるものを詰市といい、27日には大船渡市盛町の木町市場でも詰市が開かれる。
◆「終い弘法」「終い天神」
京都では12月21日は「終い弘法」(しまいこうぼう)といい、東寺で今年最後の露天市が開かれる。25日は「終い天神」(しまいてんじん)といい、北野の天満宮で今年最後の露天市が開かれる。弘法さんが雨だったら天神さんは晴れと昔から言い伝えられている。
◆飛騨の塩ぶり
飛騨の高山市公設地方卸売市場では毎年、12月24日に塩ぶり市が開かれる。朝8時から法被姿のせり人によって市が始まり、日本海産のぶりなどがせりにかけられる。せりは、昔の「貫(カン、ガン)」というかけ声で行われる。飛騨地方では、ぶりはワカシ、イナダ、ワラサ、ブリと名前が変わる出世魚として縁起物とされ、大晦日から正月かけての年越しの膳を飾る。
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◆宮古島苧麻糸制作技術
沖縄県宮古島の国指定重要無形文化財である宮古上布の原材料「苧麻(ブー)糸」の制作技術は、国選定保存技術に指定されている。「宮古苧麻績み(ぶーんみ)保存会」によって養成教室が開設され、技術保存と継承がなされている。2006年には第1回展示会が開かれた。
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◆中山道守山宿「もりやまいち」
滋賀県守山市守山では、応永25年(1418年)から続いた中山道守山宿の「もりやまいち」が復活している。年の瀬に特産品や食料品、工芸品、正月用品など数々の出店でにぎわう。伊吹山の伝統芸「がまの油売り」なども行われている。
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◆白山比盗_社の大しめ縄
石川県白山市三宮町にある白山比盗_社(しらやまひめじんじゃ)は白山神社の総本社とされている。毎年の暮れには、長さ約8メートル、直径約80センチ、重さ約300キロの大しめ縄が氏子青年会によって受け継がれる伝統の技法によって作られる。
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◆韓国のテンプル・ステイ
韓国のKORAILでは大韓仏教曹溪宗の韓国仏教文化事業団と共同して毎月韓国の伝統的な寺院の生活を体験できるテンプル・ステイ・テーマ列車を運行している。参加者は寺で鉢盂供養(仏教式食事)や早朝礼拝、座禅など、修行者らと共に生活し仏教文化を体験できる。1泊2日で大人10万3000万ウォン(約6500円)程度という。テンプル・ステイは2002年に韓国の伝統文化を紹介する方法の一つとして発足し、参加者らから好評を集め発展した。韓国仏教文化事業団は韓国仏教の美しい有形・無形資源を内外の人に紹介する目的で運営している。テンプル・ステイを行っている寺は全国にあり、その内容も、座禅や禅武道、死の瞑想、祈祷、お茶など様々であるという。
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◆民族楽器シュトライヒ・プサルター
シュトライヒ・プサルターはオーストリアのチロル地方に古くから伝わる擦弦楽器。三角形をしているので、三角バイオリンとも呼ばれる。一弦一音で、20本以上も張られたピアノ線を馬の尻尾の弓で弾く。プサルテリウムという旧約聖書にも登場する大変古い楽器が源流とされる。
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◆プレセピオ
イタリアのナポリではクリスマスの時期、プレセピオという人形が売られ、それを求める観光客でにぎわう。プレセピオはキリスト降誕の場面を再現した人形飾りである。カトリックの家庭では、降誕したキリストとマリアを3賢人、天使などが囲む様子を表現したプレセピオで、クリスマスを祝う。聖マリアの日(12月8日)から公現祭の日(翌年の1月6日)まで飾られるという。キリストの人形は12月25日の朝に置く。ナポリは伝統的にこの人形を作る職人が多く、お土産用のものや本格的なプレセピオも売られている。
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◆徳島雨乞(ご)い踊り
徳島の旧一宇村に伝わる県無形文化財「雨乞(ご)い踊り」は江戸期から記録が残っている。1920(大正九)年に途絶えたが、1968(昭和四十三)年に明治百年を記念して復活した。かつては、「権現詰め」とも呼ばれ、雨が降らないときに、太鼓を担いで踊りながら村内の八面山(1312メートル)、矢筈山(1848メートル)などに登って竜神様に祈ると雨が降ったと伝えられる。
雨乞い踊りは、太鼓持ち、かさ、かね、囃子(はやし)で構成され、かねと囃子に合わせて、数人のかさと太鼓持ちが太鼓をたたいて踊る。一宇中学校の全生徒がこの踊りの継承に取り組んだ。藍染の衣装も自前で作り、竹太鼓を加えてリズムを考え、「雨乞い踊り」の創作も試みている。
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◆黒谷町の伝統工芸・紙漉
京都の綾部市黒谷町は紙すきの本場として知られています。平家の落ち武者等が子孫へ残すための技として開発したのが始まりとされ、黒谷では現代でも黒谷川の清流と自然を生かした伝統的な古法の手漉き技術を守り続け、日本の数少ない純粋手漉き和紙の産地として世界に知られています。黒谷和紙は、京都府の無形文化財にもなっています。
黒谷の和紙
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◆すすはらい
毎年年の瀬には、京都の西本願寺と東本願寺で室町時代後期の蓮如上人の時代から始まったとされる「すすはらい」と呼ばれる大掃除が行われます。 僧侶や門信徒が古式に則って数百畳もある堂内のほこりを払っていきます。堂内では門信徒が横一列に並びマスクをしてすす竹で畳を叩いて歩き、1年間にたまったほこりが舞い上がりあたり一面もやのようにたちこめます。その後から大団扇を持った人達が、一斉にあおいでほこりを堂外へ送ります。また御本尊のお煤払い(おすすはらい)も行われます。
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◆蒟醤(きんま)
蒟醤(きんま)は東南アジアの漆芸技法で、室町時代にミャンマ−などから日本にも伝わったとされる。通常の漆塗り工程で漆を施した器の上に刀で文様を彫り込んでいく、そしてその上に別の色漆(いろうるし)を埋め込み、それを研ぎ落としていくことによって文様部分の漆を残していく(加飾という)技術。長い日数をかけて丹念に繰り返しながら進めていく作業である。江戸時代の天保年間(1830〜1844)、松平頼重の保護のもと香川では漆工芸が花開いた。讃岐漆器の始祖とされる玉楮象谷(たまかじぞうこく)は、この蒟醤の漆芸技法も研究し、独自の蒟醤技法を開発していった。
国立博物館
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◆雲南省大理国の観音像
紀元前5世紀頃にインドに生まれた仏教は、その後中国にも伝わり、1世紀の後漢の頃から中国にも仏教文化が隆盛を見せるようになった。937年、中国・雲南省の大理一帯に白(ぺー)族という民族が、大理国という国を作った。大理国の前の南昭国(7世紀前半〜902年)の時代にこの地にインドから秘密仏教が伝わり信仰されるようになったされる。大理国でも帝室は厚く密教を保護し、仏教が栄えたので、仏の国とも呼ばれたという。8世紀前半に建てられた崇聖寺はその頃の雲南省仏教の象徴的存在である。最も高いもので70m近くに及ぶ三つの塔が建っているため三塔寺(サンタースー)とも呼ばれる。崇聖寺は19世紀清朝の時代に一度焼け落ちたが、三つの塔だけは度重なる地震にも耐え続け今日に至るという。大理国は城壁で囲まれた都市で最盛期は1万人が住んでいたとされるが、1253年のモンゴル軍の侵攻により大理国は滅びる。1987年から崇聖寺の発掘が行われ、雲南省ぺー族独特の特徴をもつ観音像などが発見された。
純金製観音像 阿嵯耶観音(あさやかんのん)
國立故宮博物院雲南大理国 観音菩薩立像
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◆土佐典具帖紙
明治初期に高知県で発達した薄くて強靱な楮和紙の製作技術。楮を消石灰で煮熟し入念に不純物を取り除いた後に「トロロアオイ」のネリを加えて漉く。トロロアオイの根の適度な粘度を利用して極薄で均一の紙をつくる。製作技術は重要無形文化財となっており、浜田幸雄氏が、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されている。
文化庁
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豊島みみずく資料館
東京都豊島区南池袋の南池袋小学校内にある「豊島みみずく資料館」には、ふくろうをテーマにしたとても珍しい日本と世界の民芸品や、ふくろうの剥製が展示されている。質問すれば、それぞれの詳しい説明をいただくことができる。
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◆榛東村つるし雛
榛東村の雑貨店「地球屋」では、店内に高さ約7・5mのつるし雛が制作されている。2006年7月に1301個のつるし雛でギネス・ワールド・レコード社(英)から 「世界一数の多い手作り人形を作成した」というカテゴリの認定を受けた。2007年には2007個となった。
平安時代に、身代わり人形による無病息災のお祓いの行事として始まった雛まつりは、各地域に根付き、江戸時代には、赤い糸に布に包んだ玩具や香袋などの細工を飾るつるし雛の風習があらわれた。福岡県柳川市の「柳川さげもん」、静岡県東伊豆町の「稲取地方の雛のつるし飾り」、山形県酒田市の「笠福」が、三大つるし飾りとして有名である。
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◆截金(きりかね)細工
截金は,仏像や仏画の装飾に用いられた伝統技法で、金箔、銀箔などの金属薄片を線状、丸、三角、四角などの細片に竹の小刀で切り,これらを貼って文様を描き出す。仏教とともに大陸から伝わった技法である。古いものでは、法隆寺金堂の須弥壇の四隅にある「四天王像」の袴下に、斜格子文、八弁花、三角形の截金文様が彩色とともに残っている。平安時代には法華経美術などの仏教絵画や仏像の装飾として発展する。東京国立博物館 法華経法師功徳品第十九(境界線に截金が使われている)
現在は、工芸作品への活用がなされている。截金技術の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された江里佐代子氏(2007年10月死去)の巧房
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◆泡瀬の京太郎(ちょんだらー)
京太郎とは京都からきた太郎と言う意味である。かつて本州から浄土宗の念仏(ぎょうぎょく)聖たちが布教のため沖縄にも渡ってきた。歌詠や芸能、人形芝居を行う芸人集団として発展し、「京太郎」と呼ばれるようになった。十七世紀初期頃のこととされる。葬儀の念仏歌の他、仏(フトゥキ)と呼ばれる人形を使った劇や、万歳(祝儀)、組踊りなどを行う。泡瀬の京太郎は明治の頃これらの芸が泡瀬の若者達に伝授されたものである。昭和五十五年に沖縄県指定無形民族文化財に指定され、後継者育成がはかられるようになった。2006年12月には「泡瀬京太郎100周年記念祭」が開かれている。
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◆「金沢仏壇」
室町時代、北陸地方に蓮如上人の浄土真宗が広まったのを背景にして、江戸時代の加賀藩細工所の職人たちによって豪華な金沢仏壇が作成されていった。
金沢仏壇商工業協同組合
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◆鶴田町内の弥生画
200年以上前、天明年間に始まったとされる弥生画が北津軽郡鶴田町に伝わる。五穀豊穣を願って毎年神社の鳥居に掲げられる。
道の駅つるた
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◆伝承遊び
熊本の伝承遊び、肥後こま、肥後てまり、肥後まり、ブンブンごま、お手玉遊び、お手玉づくり、おても人形、チョンカケ、竹馬 、竹トンボ、凧、羽子板の絵付けの制作方法を動画で紹介。
→くまもとデジタル教材館
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◆鳥取市河原町渡一木の河原歴史民俗資料館
正月の事始めといわれる「すすはらい」の行事が毎年おこなわれる。
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◆檜枝岐歌舞伎
尾瀬の入り口として知られる檜枝岐村には、江戸時代中期からの歴史をもつ 農民芸能である檜枝岐歌舞伎が伝えられる。
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◆御食国・小浜市
奈良時代から朝廷に食材を献上していた御食国(みけつくに)・小浜市には伝承料理が継承されている。平成13年9月21日には小浜市食のまちづくり条例が制定された。
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◆アッセンデルフト・トールペイント
オランダの主都アムステルダムの北にあるアッセンデルフトの町で、17世紀ころ始まった家具や小物の油絵の具を使った絵付け技法。何色かの絵の具を順番に筆にとり,一筆で混色しないように一気に描くのが特徴。

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日本伝統工芸展 社団法人日本工芸会
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立江八幡神社祇園ばやし
慶長16年立江城主小笠原長幸が八幡宮再建時に京都より祇園ばやしの師匠を迎え村人に伝授したはやし。、三味線と鼓・鉦・囃子の優雅な音曲で、立江神社祇園ばやし保存会により伝承されている。第48回中国・四国ブロック民俗芸能大会に出場した。
立江八幡神所在地 〒773-0017 徳島県小松島市立江町
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◆第24回聖良寛文学賞
岡山県南地域で優れた研究者や作家を表彰する聖良寛文学賞の会により、第24回受賞者に民俗学者の神崎宣武さん(井原市美星町出身、埼玉県朝霞市、旅の文化研究所所長、文化庁文化審議会専門委員、美星町宇佐八幡神社宮司)が選ばれた。郷土の民俗芸能・備中神楽の研究、伝承活動などが評価された。
神崎宣武著作本
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◆韓国の国宝文書のHPでの一般公開
韓国文化財庁の「国家指定重要典籍文化財原文データベース化構築事業」によるもので、国または地方が典籍文化財に指定した古典籍・古文書など、国宝51件、宝物(日本の重要文化財に相当)565件、重要民俗資料(日本の重要有形民俗文化財に相当)を文化財庁国家記録遺産ホームページにて無料で閲覧できる。英語ページもある。
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◆画僧雪舟終焉伝説
井原市芳井町、臨済宗佛通寺派の寺院重玄寺には、室町時代の画僧・雪舟(1420〜1506年)の終焉地伝承が伝わる。最近には、1823(文政6)年4月に重玄寺の檀家が代官所に出した騒動の解決を求める嘆願書下書きと、翌月、寺の住職が庄屋に出した詫び状の写しが見つかっている。 檀家の数人が寺宝の雪舟作「近江八景」八幅と「里林」二幅を「銀子壱貫目」で質入れした騒動に関する内容である。
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◆鹿児島県指宿市の指宿温泉・白水館では薩摩の芸術品などを収蔵する「薩摩伝承館」がOPENする。
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伊那市高遠町は、高遠藩主保科正之公が「高遠そば」を広めたことでも知られる。高遠そばは、地元そば粉によるそばを、辛味大根汁、焼味噌、刻みネギを加えた「辛つゆ」につけるのが特徴。高遠そば組合(松井教一組合長)などによる取り組みで、長い歴史をもつ高遠そばの伝承と普及を目的とした「高遠そば打ち講座」が開かれている。
伊那市観光協会高遠支部
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◆うるま市石川山城に伝わる風俗や習慣を、同区在住の山城正夫さんが36年かけ記録し、農事、祭祀、芸能など十四章・全三巻・2223ページの大作にまとめた。
沖縄タイムス
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◆伝承遊び考
児童文化研究家、絵本作家でもある加古里子により、子供から子供へと伝えられ、淘汰されながら広がっていった伝承遊びが、全4冊の本にまとめられる。50年以上にわたって全国・海外から収集した27万点余の資料を分析考察したもの。そのうち(1) 絵かき遊び考 が2006年10月発刊された。 伝承遊び考〈1〉絵かき遊び考 (2) 石けり遊び (3) 鬼遊び考 (4) じゃんけん遊び考
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◆近江国大溝(滋賀県高島市)の2万石の外様大名、大溝藩分部家について
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◆与那国民俗資料館。与那国には象形文字『カイダ文字』が伝わっている。
与那国海底遺跡
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高島歴史民俗資料館。滋賀県高島地域の歴史・民俗・考古資料を収納。
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◆地域プライド創発による地域づくりのあり方に関する調査が文部科学省により行われた。日本の各地域の伝承文化や歴史的文化資源などの調査結果がまとめられている。
→文部科学省
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白山ろく民俗資料館。国指定重要文化財「小倉家」などを展示。
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◆滋賀県無形民俗文化財、人形浄瑠璃「冨田人形」。江戸・天保時代より180年の歴史を誇る。
→月刊地域づくり
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◆南島原市口之津歴史民俗資料館・海の資料館。
船員が世界各国から持ち帰った民芸品を展示している。
明治30年代に、沖永良部島出身者などが福岡・三井三池炭鉱の石炭輸出船に従事していたことを示す船員名簿が、長崎県南島原市口之津歴史民俗資料館で見つかった。長崎・口之津に集団移住した人達とみられ、「沖永良部からの近代移住史」の解明のための貴重な資料。
→海と船の博物館ネット
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◆「燈火・民俗見聞」
小布施町の日本のあかり博物館の元学芸員、山崎ます美さんが残した遺稿集「燈火・民俗見聞」が発刊された。内容は灯火具や民具の歴史にとどまらず、歴史をひも解くものや信仰に関するものまで幅広く多岐にわたる。
→北信州ネット
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◆曽於市大隅町の岩川八幡神社で、「弥五郎どん」という武内宿弥をモデルにした伝説の大男がまちを練り歩く「弥五郎どん祭り」が毎年行なわれている。弥五郎どん祭りは、無病息災を祈願するもので県の無形民俗文化財にも指定されている。身長約5メートルの巨体が鳥居をくぐる。
→動画歳時記(南日本新聞)

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